2012年7月24日火曜日

自殺者数の増加と企業体質の関連性について

近年、自殺により、自らの命を絶つ人が増えている。

↓参考(警視庁参考資料)
http://www.t-pec.co.jp/mental/2002-08-4.htm

上記の参考資料をみてもらうとわかるが、平成10年から急激に増加し、その中でも、男性の比率が多い事が単純に読み取れると思う。
また、年齢的には20~69才と働き盛りと呼ばれる世代が多いと思う。

まずは、平成10年に何が起ったか単純に列挙しようと思う。
【政治】
・新進党の解党
・参院での自民惨敗
・自民/自由連立
【経済】
・先行きの見えない経済不況
・史上最悪の失業率、倒産、合併、減益
【時事】
・毒入りカレー事件
・全国の毒入り食物、飲み物連鎖
・インターネット注文による毒物宅配事件
【海外】
・北朝鮮のミサイル問題
・インド、パキスタンの核実験
・米英によるイラク空爆

大きな話題でこんなところだろうか?

この中で、自殺者数の増加に影響しそうなものは、「経済」の出来事であろう。

確かに、今現状でも回復の兆しを見ていない経済不況は大きな要因の一つかもしれない。
「不況→企業の減益・倒産→収入ダウン」により、生活が困窮し自殺を考えるというのが、通常の心理かもしれない。

しかし、参考資料における、バブル期(S61~H3)~バブル崩壊(H3~H5)までの期間に注目してもらいたい。
※バブル期、バブル崩壊の期間は目安として捉えて下さい。
バブルによる好況でも、崩壊による景気後退でも、自殺者数にあまり差が出ていないように思われる。

私はむしろ、実際の収入ではなく、企業における社員待遇の悪化が自殺者数の増加の引き金になっているのではないかと考える。

たとえば、以下の要因も考えられるのではなかろうか?
①企業における精神疾患者への精神的な強いあたり
②年功序列制度の崩壊による、熟年者の収入低下
③形ばかりの成果主義における不当な減給
④許容量オーバーの作業の割り当て、残業代の不払い

こんなことはあり得ないと、企業トップ及び経営層は思うかもしれない。
確かに大企業であれば、社会的地位・コンプライアンス・監査等の厳しい条件にさらされている為、このような事は起こらないかもしれない。

しかし、日本の企業の99%を占める中小企業ではどうだろうか?

少なくとも、僕が知っている「業種」も「職種」も「規模」も違ういくつかの中小企業のうちほとんどは、①と④に該当する。(②、③は主観的な部分もあるので判断が難しいのだが。。。)

特に、④→①に発展し企業が社員を自殺に追い込んでいるケースに一番近いと考える。

僕が知っているケースを紹介しよう。

Aさんは毎日終電まで作業し、休日もほぼ返上で働きづめだった。しかし、すべての時間を勤務時間と計上することはできず、上司に「労働基準法に引っかからないように」とか「休日出勤は休まなくても休んだことにしておいて」等の指示を受けていた。そんな生活を続けていて、体がもつわけもなく、体調を崩したので、心療内科を受診したところ、うつ病であると診断された。上司にその事を相談したところ、最初は「治るまで無理をしなくていい」と言っていたが、1か月位過ぎた頃から「いつ治るんだ?」「なぜ、朝出勤できない!」「いつまで病院に通ってるんだ!」「医者はどうしようとしている?今度、通院について行ってやる」との圧力をかけてきました。Aさんは耐えきれずにその会社を辞めることにしましたが、後からAさんの同僚だったBさんに話を聞いたところ、その上司は、他の精神疾患者にも同様の対応を取っていたそうです。
ちなみに、この事実は会社の人事部や経営層は知らず、あの管理者の部下は良くやめるがなぜだろう?という噂になっていたそうです。
Aさんは自殺まではしていないが、してもおかしくない状態であったと考えられる。

このように、企業単位ではなく、個人(管理者)単位での問題が隠れている場合が多く、さらに言うと、精神疾患者に対する対応が正しくなされていない企業が多いという事実は否定できないと思います。特に、40~60才くらいの管理者は精神論を唱える人間が多く、実際に精神疾患者の気持ちを理解できる人間が少なく、ケアの方法も習得していない事が多々あるのも事実と考える。

ここで参考資料をもう一度、参照していただきたいのだが、以下の傾向を読み取ることができる。
①大半が無職者
②半数は健康問題
上記のAさんのケースでAさんが自殺してしまった場合、どうなるか?
離職した為、その時点では「無職」となる可能性が高いし、精神疾患の為「健康問題」での自殺となるケースとして取り上げられると考えられる。

つまり、「無職者=定職についていない人」という考えは捨てた方は良いと思う。
また、「健康問題=大きな病気」という考えも古い考えであると認識した方がよい。

そして、社会的・企業的に適切なケアをすることが最も重要であると考える。
ほとんどの企業では「管理者にはメンタルヘルスの研修を受けさせている」とか「相談窓口を設けているから問題ない」等といった言い分があるかもしれないが、それが本当に機能しているか考えてほしい。
形ばかりの制度は、人間を殺す道具になることを認識してもらい、よりよい社会をつくることを考える事は、企業における事業の発展にも必要な事と私は思う。

最後となるが、私も幾度となく自殺を考えたことがあるし、現在もときどき考える。
正直なところ、ここまで”なんとなく”生きてしまった感が強いのも事実である。
私の場合は、上述した要因で言うところの①になり、③の状況になった為という状況である。
あと数年、頑張って生き残れるか、それとも、自ら命を絶つか、私の考えを述べるのは別の機会にしようと思う。

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